インド最初期仏教への誘い

現存するパーリ語仏教経典からの引用による仏教紹介。

やはり、パーリ語経典の中には次第説法の詳しい記述はありませんでした。次第説法9[次第説法 概要⑨]



では次第説法についてもう少し調べてみますと、(仏教辞典 パユットー著 野中耕一訳から引用。)


 次第説法 (Anupubbi kathaa : progressive sermon  graduated sermon  subjects for gradualinstruction) 


順次話すこと。 聴き手の性格を訓育して段々と勝れたものにし、法の最勝の部分を理解
できるようにするために、順次内容を深めて説く法。


1.施論 (Daana-kathaa  talk on giving  liberality or charity)
布施のこと。布施して分け与え、助けることを説く。


2.戒論 (Sila-kathaa talk on morality or righteousness): 戒のこと。 正しい善なる実践について説く。


3.生天論 (Sagga-kathā: talk on heavenly pleasures):


天のこと。 最初の二項目の法の原理に従って実践したとき、 到達できる安楽と増進と欲の善い部分の望ましい果について説く。


4. 愛欲不利益論 (Kāmādīnava-kathā: talk on the disadvantages of sensual pleasures)


欲の過悪について。 欲の欠点、 不完全なこと、 同時に欲から生じる惑い溺れるべきではない悪い果のことを説き、 厭離をすることを知るに至る。


5. 離欲利益論 (Nekkhammānisamsa-kathā : talk on the benefits of renouncing sensual
pleasure):
欲を離れることの利益について。欲に溺れてわれを忘れないことの善果とそれ
以上のより妙勝な善と安楽を求める志欲を持つように説く。


通常、ブッダは法を成就する特別な資質・能力のある在家に説法されるときは、
まずこの次第説法をされて、四聖諦を説かれた。
綺麗に洗った白衣が様々な染料によく染まるように、
受け入れるように心を準備するものである。


(第3巻律蔵三29頁; 第6巻長部戒蘊篇、 究羅檀頭経 215頁)


この、↑上記の本、南伝大蔵経P29 P215を調べても結局上記の次第説法の「項目」しかありませんでした。


つまりブッダが、直々に在家一般人に法を説いた内容記録は、上座仏教教団が保持するパーリ語経典には存在しない可能性が高いという結論に達しました。


従いまして、仕方ないのでやはり、他の経典郡から該当の項目、話題を探しまして引用するしか手がないようです。

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