インド最初期仏教への誘い

現存するパーリ語仏教経典からの引用による仏教紹介。

仏教で言う「苦 Dukkhaドゥッカ」とは何か?四聖諦を理解するために。大苦蘊経 PART1[次第説法33 欲の欠点、危難⑧ 離欲の利点、功徳⑥]


一方に坐ったポッカラサーティ・バラモンに、世尊は、順々の話[次第説法]をされた。
すなわち、布施の話、戒の話、天の話、もろもろの欲望における危難、卑劣・汚れを、離欲における功徳を説明された。
世尊は、ポッカラサーティ・バラモンが従順な心になり、柔和な心になり、
障りのない心になり、向上する心になり、浄らかな心になったことをお知りになると
もろもろの仏が自ら称賛する法の教えを
すなわち、苦・集・滅・道 
[苦 ・苦の生起・苦の滅尽・苦の滅尽にいたる行道という四聖諦]

を説き示された。
すると、ちょうど染みのない清浄な布が完全に染料を受けとるように、
ポッカラサーティ・パラモンには、即座に、
「生じる性質のものはすべて滅する性質のものである」という、
塵を離れ垢を離れた法の眼✽1が生じた。 

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今回から、上記↑ ブッダの在家一般人に対する代表的な次第説法の一つ、
もろもろの欲望における危難卑劣・汚れを、離欲における功徳の話の例としまして、
パーリ語仏典 中部経典第13 大苦蘊経(mahaa  dukkha khanda sutta)をご紹介したいと思います。片山一良訳 大蔵出版 P234~引用



このように私は聞いた―
あるとき、世尊は、サーヴァッティに近い、ジェータ林のアナータピンディカ僧院に住んでおられた 。

中略~
さて、かれら比丘は、サーヴァッティで托鉢をして、食後、托鉢食から離れると、世尊がおられるところへ近づいて行った。行って、世尊を拝礼し、一方に座った。一方に坐ったかれら比丘は、世尊にこう申しあげた。


「師よ、私どもは今朝早く、着衣し、鉢と衣をたもち、サーヴァッティへ托鉢に入りました。が、その私どもは、こう思いました。


〈サーヴァッティで托鉢するにはまだ早すぎる。われわれは、異教の遊行者たちの園林へ行ってみてはどうであろうか〉と。


そこで、尊師よ、私どもは異教の遊行者たちの園林に近づいて行きました。 行って、異教の遊行者たちと喜びの挨拶を交わし、喜ばしい印象に残る話をとり交わしたあと、一方に坐りました。


尊師よ、一方に坐った私どもに、異教の遊行者たちはこう言いました。


『友らよ、ゴータマ沙門はもろもろの欲(kaama)の知悉(ちしつ・知りつくすこと引用者注)を主張をしていますが、われわれもまたもろもろの欲の知悉を主張しています。

ゴータマ沙門はもろもろの色(ruupa物質、人の身体、容姿)の知悉を主張していますが、われわれも色の知悉を主張しています。


友らよ、ゴータマ沙門はもろもろの感受(vedanaa感覚)の知悉を主張していますが、われわれもまたもろもろの感受の知悉を主張しています。


 友らよ、この場合、われわれとの差異は何でしょうか?意趣は何でしょうか?相違は何でしょうか?すなわち説法と説法、あるいは教誠と教誠についてです』と。


そこで、尊師よ、私どもは、異教の遊行者たちが語ったことに歓喜もせず、非難もしませんでした。 歓喜することもなく、 非難することもなく、座から立ち上がり、〈世尊のもとでこの語られたことの意味をよく知ることにしよう〉と去りました」と。


「比丘たちよ、そのように語る異教の遊行者たちには、このように言うべきです。


『友らよ、いったい、もろもろの欲の
①楽味(楽しみ)は何でしょうか?
②危難(障害、煩わしさ)は何でしょうか?
③出離(解放)は何でしょうか?


 もろもろの色の楽味は何でしょうか?危難は何でしょうか?出離は何でしょうか? 


もろもろの感受の楽味は何でしょうか?危難は何でしょうか?出離は何でしょうか?』と。


比丘たちよ、このように問われて、異教の遊行者たちは答えることができず、それ以上に困惑してしまうはずです。それはなぜか。比丘たちよ、かれらの埒外(らちがい・わくの外。一定の範囲外。)にあるからです。


比丘たちよ、如来から、あるいは如来の弟子から、あるいはここから聞く以外、これらの問いに答えて心を喜ばせることができる者を、私は、神々をふくむ、魔をふくむ、梵天をふくむ世界において、沙門・バラモンをふくむ、天・人をふくむ衆において見ることがありません」
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PART 2へ続きます。

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