インド最初期仏教への誘い

現存するパーリ語仏教経典からの引用による仏教紹介。

修行者にお布施をするとは?シンガーラ経別名「六方礼経」[次第説法17  布施④]




この続きです。


では今度は修行者にお布施をすると修行者との係わりはその後どうなるのか?という記述があります。
(シンガーラ経 長部パーリ仏典5 片山一良訳 大蔵出版P384
〈六方礼経〉南方仏教基本聖典 P60から引用)


上方=沙門・バラモン


資産家の子よ、五の理由によって、善家の子は上方である沙門・バラモン
に奉仕すべきです(大切にすべきである。)。


(1) 慈しみのある身業による。
(2) 慈しみのある語業による。
(3) 慈しみのある意業による。
(4) (供養の)門戸を開くことによる。
(5) 食(物)を施すことによる。


つまり敬意を持って慈しみを持って修行者に接し、毎朝托鉢に来られる修行者に対して門戸を開き、
食物を施す、与える。というような事のようです。


資産家の子よ、これら五の理由によって善家の子に奉仕された上方である沙門・バラモンは、六の理由によって、 善家の子を憐れみます。


(1) 悪を防止する。
(2)善に入らせる(注釈 いわゆる十善十悪の定義)
(3) 善い心をもって憐れむ。
(4) 聞いていないことを聞かせる。
(5)既に 聞いていることを明白にさせる。
(6) 天への道を告げる。


資産家の子よ、これら五の理由によって善家の子に奉仕された上方である沙門
・バラモンは、これら六の理由によって、善家の子を憐れみます。
このようにして、かれには、この上方が保護され、安穏で、恐れのないものになります」と。

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(6) 天への道を告げる。
やはりこの当時、天界とか神々の世界、またそこの世界に生まれ変わる方法というのは「当たり前に認識されていた」ということなのでしょうね。


当時のインドではバラモン階級の人が人の死に対して
、死者を天界に送る儀式儀礼をしていたと思われます。


それを受けて、布施を受けたその修行者はご自分が知っている範囲での天界への生まれ変わり方法を在家一般人に教えていたという感じだと思われます。


ちなみにこの当時、仏弟子、修行僧に対してのお布施は、食べ物や日常生活品や、時に衣服などの現物をお布施していたようです。また時にお寺など建物を寄進したりしていたようです。
決して金銀、つまり現代で言う貨幣、お金、現ナマは当人にお布施してなかったと思われます。
しても仏教修行僧、ゴータマ・ブッダ、お釈迦様はお布施として、決して貨幣、現金は受け取らなかったという本人の言説記述があります。


次回はその記述をご紹介したいと思います。

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